都教委『五輪読本』憲章違反の記述で監査請求!

皆さま
 おはようございます。増田です。

 これは「実教出版教科書・五輪読本問題に関し違法不当な東京都教育委員会を訴える会(略称:都教委を訴える会)」…超長くてすみません(笑)…事務局からのお知らせです。重複・超々長文、お許しください。

 昨日、110名の請求人をもって、都教委作成『オリンピック・パラリンピック読本』に五輪憲章に反するとして東京都監査事務局に監査請求書を提出してきました。
 東京新聞夕刊と共同通信が報道してくれました。
http://www.47news.jp/news/2017/03/post_20170327112704.html

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                        監     査     請     求     書
                                                   2017年3月 27日
東 京 都 監 査 委 員  殿
    東京都教育委員会は、後記のとおり違法な財務会計行為を行ったので、地方自治法242条1項に基づく措置を講ずることを求めて、監査を請求する。
                                                                               請 求 人     高嶋伸欣 他(別紙目録記載)
  
               請  求  す  る  措  置  の  内  容
 1 東京都教育委員会は2016年3月31日に、自己の作成した「オリンピック・パラリンピック学習読本」・映像教材DVD・教師用指導書を、東京都内の全ての小学校・中学校・高等学校に配布したが、この配布のために金1億6431万1799円を支出した行為について監査し、この財務会計行為が違法であったと認定されたい。
 
2 上記配布を決定した教育委員(木村孟・宮崎緑・山口香・遠藤勝裕・大杉覚)、及び配布に関与した教育長(中井敬三)に対して、連帯して、上記1億6431万1799円を東京都に返還するよう命じられたい。
 
                 請   求   す   る   理   由
1 東京都教育委員会は2016年3月31日に、自己の作成した「オリンピック・パラリンピック学習読本」・映像教材DVD・教師用指導書を、東京都内の全ての小学校・中学校・高等学校に配布したが、この配布のために金1億6431万1799円を支出した(読本:9437万4239円、DVD:6392万6280円、指導書:601万1280円)。

2 この学習読本には、例えば小学校用64頁に
「(五輪=オリンピック・パラリンピックでは)表彰式の国旗掲揚では、国歌が流されます。」
 と記載され、また中学校用89頁には、表彰式の写真の説明として
「中央に1位、向かって左側に2位、右側に3位の国旗が掲揚され、1位の国の国歌が演奏される。国歌が演奏されるときには、敬意を表し、起立して脱帽する。」等と記載されている。

3 しかし、読本に於けるこの記述は、オリンピック憲章に明らかに違背する誤謬のものである。
 ?  すなわち、オリンピック憲章は、成績優秀者の顕彰のための旗の掲揚・歌の奏楽について、以下のように明記している。
 「優勝者の所属する選手団の旗がセントラル・ポールに掲揚され、第2位、第3位の競技者の所属する選手団の旗も競技場に向かってセントラル・ポールの左右に並んで立つポールに掲揚される。優勝者の所属する選手団の歌(短縮したもの)が演奏される間は、メダル受賞者たちは旗の方向を向くものとする。」

 ?  これは、クーベルタンによって復活された近代のオリンピックも、古代オリンピックの精神に立つことが理念とされていたことを、端的に示していたものである。すなわちそれは、個人の優れた能力を顕彰し、その努力に敬意を表することを旨としていた。そして、それゆえにそのような個人の人間性に、国家間の政治的対立に凌駕する価値が見出されていた。このような理念から、オリンピック開催中は全ての都市国家は戦争行為を中止することが義務づけられていたのであった。

 ? したがって、もし近代オリンピックが、いわゆるステート・アマ達による諸国家の単なる国威発揚の場に過ぎないのであるならば、わざわざ「オリンピック」の名を冠する必要もなく、また、そうしてはいけなかったのである。

 しかし、オリンピックはそのようなものであってはならず、むしろ諸民族の成員・諸国家の国民達が、スポーツ祭典の機会に、人間同士としての友誼・交流を深めあい、また諸民族・諸国民にもそのような関係が促進されて、そのことによって、平和の基礎が打ち固められることが追求されるべきとの理想・理念が掲げられた。この理念・理想から、敢えて「国旗」「国歌」ではなく、「選手団の旗」「選手団の歌」と規定されたのである。(ドイツの優勝選手の表彰に於いて、ベートーベンの「歓喜の歌」が奏楽された事実は、まさにこの理念に適うものであった。)

    (なお、憲章には若干の修整がなされているようであが、以上は、オリンピックの根本理念であるから、オリンピックが開催される限り、当然それは不変の理想として堅持されているものである。)

4 すなわち掲揚されるのは「選手団の旗」であり、演奏されるのは「選手団の歌」であって、「国旗」「国歌」とはされていないのである。そして、そのことはオリンピックの根本精神そのものであるのである。

5 以上よりするならば、東京都教育委員会作成にかかるこの学習読本の当該記載は、明白にオリンピック憲章に違反した誤謬のものである。 かつ、この誤謬・違反は、オリンピックのそもそもの基本的精神・理念にかかわるものであるから、関係教材等の全ての違法を来たすものである。

6 「旭川学テ事件」に関する最高裁の確定判決(1976・5・21)は、教育の理念について宣明し、
「殊に個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤つた知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法二六条、一三条の規定上からも許されない」と明言している。このことに徴すれば、本読本の記載は明らかに、極めて重要な点について「誤つた知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制する」ものであるから、違法・違憲である。

7 したがって、このような違憲・違法の内容が記載された学習読本の配布のために、都民の税金から支出された金1億6431万17999円もの費用は違法・違憲のものであり、都財政に違法不当な損害を与えたものである。なお、監査委員の判断に資するために、資料を2種添付する。

8 以上のとおりであるので、東京都教育委員・教育長に対して、前記【請求する措置の内容】記載のとおりの措置を講じられたく、請求する。

                                                        以 上